公開日: / 更新日: / 情報確認日: 2026-07-06

「かため」「ふつう」の正体はニュートン(N)表示

マットレスの商品ページには「かため」「ふつう」「やわらかめ」といった言葉が並びますが、この硬さの度合いはニュートン(N)という単位で数値化されています。Nは、マットレスの上面を一定量押し込むのに必要な力の大きさを表す指標で、数字が大きいほど押し返す力が強く、体が沈み込みにくい=かための傾向になります。

この硬さ表示の区分は、消費者庁が所管する家庭用品品質表示法(雑貨工業品品質表示規程)にもとづいて定められています。ウレタンフォームを使ったマットレスなどでは、この区分に沿って「かため」「ふつう」「やわらかめ」を表示するのが基本です。まずはこの数値の目安を押さえておくと、言葉のニュアンスに頼らず硬さを比べられるようになります。

この記事では、N値の区分の具体的な数字、同じ「かため」でも各社で数字が違う理由、N値を公表していないブランドの見方、そして体重と硬さ選びの一般的な目安を、モットンやLIMNEなど実在モデルの公式表示をもとに整理します。硬さは寝心地の好みや体格との相性の話で、特定の不調を良くするといった効き目の話ではない点は前提として読んでください。構造そのものの違いは、マットレス構造の基礎で別途まとめています。

関連: マットレス構造の基礎

N値の区分:110N以上・75〜110N・75N未満

家庭用品品質表示法上の硬さ区分は、おおむね次の3段階で示されます。数字の境目を覚えておくと、商品ページの「かため」表示が実際にどのくらいの数値なのかを裏取りできます。

表示上の呼び方ニュートン(N)の目安体の沈み込みの傾向
かため110N以上沈み込みが少なく、面で支える感覚が強い
ふつう75N以上110N未満適度に沈み、標準的な寝心地
やわらかめ75N未満沈み込みが大きく、包まれる感覚が強い

この区分はあくまで表示上の分類で、数値が大きいほど良い・小さいほど悪いという優劣ではありません。かためは体が沈み込みにくいぶん寝返りが打ちやすいと感じる人がいる一方、肩やお尻の出っ張りに当たりを感じる人もいます。やわらかめは体を包む感覚が心地よい一方、腰やお尻が沈み込みやすいと感じる人もいます。どちらが合うかは体格と寝姿勢、そして好みによって変わります。

なお、この区分はウレタンフォームなどN値で硬さを表しやすい素材を前提にしたものです。ポケットコイルやファイバーは同じ物差しで表しにくく、N値を公表しないブランドも少なくありません。その場合の見方は後述します。

同じ「かため」でも各社で数字が違う

N値を公表しているモデルを見比べると、同じ「かため」でも採用している数値や層ごとの設計が違うことが分かります。ここが硬さ選びのつまずきやすいところで、表示の言葉だけでなく数値と層構造をあわせて見るのがポイントです。

LIMNE the Mattressは、トップ25N/ミドル120N/ボトム140Nと層ごとのN値を公式表示しています。表面はやわらかめの数値でも、下の層でしっかり支える設計です。コアラマットレス オリジナルは公式表示で下層に265Nの高反発フォームを使ったかための寝心地とされ、雲のやすらぎプレミアムは上層115N/中層170N/下層115Nのかため表示と、いずれも複数の層で硬さを組み合わせています。

単層のモデルは数値が分かりやすく、モットンは140N・170N・280Nの3展開、GOKUMIN プレミアムスプリングは180N・かため(Amazon公式表記)、西川 エアー AiR 01 BASICはレギュラー110N/HARDタイプ140Nと、狙いの硬さを数値で選べます。つまり「かため」という一語でも、単層で一律に硬いのか、層ごとに硬さを変えているのかで寝心地の性格が変わるため、数値と層構造をセットで確認するのが失敗しにくい見方です。

N値を公表しないブランドの見方

コイル系を中心に、N値を公表せず「かため」「ふつう」といった表示や独自の構造名で硬さを説明するブランドもあります。この場合は、N値の代わりにどんな情報で硬さを読み取ればよいかを知っておくと比べやすくなります。

NELL マットレスはN値を公表せず、腰部と四隅を硬めにしたセンターハード構造という、部位ごとに硬さを変えるゾーニングで説明しています。ポケットコイルは体の凹凸に沿って点で沈むため、一律のN値では表しにくく、コイル数(NELLはシングルで1,173個)やゾーニングの有無が硬さの手がかりになります。ニトリ Nスリープ プレミアムも「ふつう(N値非公表)」の表示で、2層ポケットコイル計1,080個という構造で寝心地を説明しています。

ファイバー系のアイリスオーヤマ エアリーやハイブリッドのエマも、単一のN値ではなく素材・層構造で硬さの性格を示すタイプです。N値非公表のモデルを検討するときは、(1)ゾーニングやコイル数などの構造情報、(2)店舗で試せるか、(3)合わなかったときの返品保証があるか、の3点を確認しておくと、数値がなくてもミスマッチを避けやすくなります。返品保証の条件は、各社のトライアル条件の比較で整理しています。

関連: 各社の返品保証・トライアル条件を比べる

体重と硬さの一般的な目安

硬さ選びでよく使われるのが、体重に対する硬さの目安です。体重が重い人ほど体が沈み込みやすいため、一般的にはかための数値が沈み込みすぎを抑えやすく、体重が軽い人ほどやわらかめでも底付き感を感じにくい、という考え方が広く使われています。あくまで一般的な目安であり、寝姿勢や好みで前後する点は前提です。

この体重別の考え方を、硬さ展開そのものに落とし込んでいるのがモットンです。公式表示では140N(〜45kg向け)/170N(46〜80kg向け)/280N(81kg〜向け)の3展開で、体重に応じて硬さを選べるようになっています(レギュラーの基準は170N)。同じ製品でも、体重帯によって推奨される硬さが変わるという点は、硬さと体格の関係を理解するうえで分かりやすい例です。

注意したいのは、体重はあくまで一つの目安にすぎないことです。同じ体重でも、横向き寝が多い人は肩やお尻が当たりやすいのでやや沈む硬さを好むことがあり、あお向け中心の人は腰が落ちにくいかためを好むことがあります。数値の目安を出発点にしつつ、可能なら店舗で試すか、返品保証のあるモデルで自宅で確かめると、体格と好みの両方に合わせやすくなります。硬さを交換できるかどうか(モットンは硬さ交換1回4,500円)も、あわせて確認しておくと安心です。

よくある質問

N値が大きいほど良いマットレスということですか?

いいえ、N値は硬さの度合いを表す指標で、大きい・小さいに優劣はありません。110N以上はかため、75〜110Nはふつう、75N未満はやわらかめという区分で、体が沈み込みにくいか包まれるかの違いです。体格や寝姿勢、好みによって合う硬さは変わるため、数字の大小ではなく自分に合うかどうかで選んでください。

商品ページに『ふつう』とだけ書いてあり、N値の記載がありません。硬さはどう判断すればよいですか?

ポケットコイルやファイバーはN値で表しにくいため、非公表のモデルもあります。その場合は、コイル数やゾーニング(部位ごとの硬さ調整)などの構造情報、店舗で試せるか、返品保証があるか、の3点を手がかりにすると比べやすくなります。数値がない=品質が低いという意味ではありません。

硬さを間違えて買ってしまったら交換できますか?

モデルによります。モットンのように硬さ交換に対応する製品もありますが、手数料(モットンは1回4,500円)や条件が定められています。ニトリのように別マットレスへの交換制度がある例もあれば、受注生産で返品交換不可のモデルもあります。硬さで迷う場合は、購入前に交換・返品の条件まで確認しておくと安心です。

硬さの次に確認したいこと

マットレスの硬さは、家庭用品品質表示法上の区分(110N以上=かため/75〜110N=ふつう/75N未満=やわらかめ)を物差しにすると、言葉のニュアンスに惑わされずに比べられます。同じ「かため」でも単層か多層かで性格が変わり、N値非公表のモデルは構造情報や返品保証で読み取るのが実用的です。

硬さの数値を押さえたら、次はその硬さがどんな構造から生まれているのかを確認すると理解が深まります。ウレタン・ポケットコイル・ファイバー・ハイブリッドの違いは、マットレス構造の基礎でまとめています。気になるモデルが決まったら、掲載中のマットレス一覧で公式表示の硬さと構造をあわせて確認してみてください。

関連: マットレス構造の基礎